vol.63:D60

ついにデジタル一眼レフ、キャノンD60を買ったゾ。


カメラを買って興奮したのは久しぶり。うれしくてその辺をパチパチ撮っている。オートフォーカスの速度は怪しいもんだが、各部の操作性はいい。ホワイトバランスの手動セット以外は、マニュアルに頼らなくても理解できた。ボディは意外とがっちりしていて安っぽくない。合格!




この間の写真展に来てくれた中には、カメラマンの人も多かった。その全員に「デジカメ使ってます?」と聞いてみた。すると20人中18人がデジカメを仕事で使っていた。結構驚くべき数字だ。90パーセントのカメラマンがデジカメを使っているのだ。これほどプロに普及するとは2年前には考えられなかった。


もうひとつ「納品の保存形式は?」と問うたところ、広告系は「TIFF」か「CMYKを自分で変換してEPS保存」雑誌は「JPEG」か「Photoshop」とまちまち。広告系はデータを「いじる」派が多く、雑誌は「撮ったまんま」派が多数だった。


印刷会社のデジタル部門で働いている元アシスタントに尋ねたところ、「納品の保存形式は何でもかまわない。ただ、ポジフィルムで言うところの『テキ(適正露出)』がきていないデータが多すぎる。デジカメのラチュード(露出の許容範囲)はフィルムより狭いんです」。なるほどね。


デジカメを使っているカメラマン全員が口をそろえて「D60はいい!」というもんだから、むくむくと「欲しい欲しい病」が再発した。そんな時、見透かしたように銀座のプロショップ「銀一」がD60を安く、すぐ(量販店では予約販売)手に入れられるキャノンセールをやるというのだ。本体セットにグリップ、予備バッテリーがおまけについて30万円也。高いのか安いのか微妙なところだ。


お店の人の話だと、イオス1VがD60より安い値段で出ているのにまるで売れず、D60ばかりがバンバン売れると言っていた。プロ用の高級機材やアンティークなカメラを専門に扱っているもんだから「銀塩はもうだめだね〜」とボヤくボヤく。




記憶媒体を「コンパクトフラッシュ」ではなく1ギガまで容量がある「マイクロドライブ」にしようと思ったが、「マイクロドライブ」はショックに弱く、安定性に欠けるらしい。あんまり大きな容量だと「データが飛んでしまった時のダメージが大きいし、転送に時間がかかる」というアドバイスもあって128メガの「コンパクトフラッシュ」に落ち着いた。128メガを5枚買うと、640メガ、ちょうどCD1枚分の容量となる。


ちなみにコンパクトフラッシュの場合、64メガのメモリーが1メガ当たりの単価が一番安く、およそ59円(新宿ヨドバシ価格)。32メガだと67円、128メガが63円、256メガが89円と上がり、512メガの場合は1メガ103円にもなる。マイクロドライブは1メガ34円とお買い得。


カメラを買ったらバックアップ用のモバイル機も欲しくなってきた。
そこへ「バイオU」の発売。
http://www.sony.jp/products/Consumer/PCOM/PCG-U1/
バッテリー込みで820グラム。軽い!HDは20ギガある。ロケにはもってこいだ。値段も15万円しない(ただしCD、DVDプレーヤーは別売)。小さすぎて使いづらい面もありそうだが、バックアップ用にはもってこいのスペックだ。


D60用に超広角レンズも欲しい。キャノンのEF16〜20mmが20万円くらい。調子に乗って色々買うと70万円くらいあっという間。仕事で70万円の利益を上げるのは結構大変だ。そうとは分かっていても「欲しい欲しい病」を自制するのは難しいのだ。




先月買ったコンパクトデジカメ「ファインピックスF601」はと言えば… ダメだった。機能が多すぎるため設定がややこしく、よく使う露出補正やクローズアップの呼び出しに手間がかかりすぎた。おまけに、懸念したとおりハデで美しすぎて色味にリアリティが乏しかった。普通に記念写真などを撮るぶんには最高のカメラなのだが。


「ファインピックス4500」の抜群の操作性と、蛍光灯の色味を完璧に補正せず、グリーンかぶりをわずかに残す絶妙のホワイトバランスに惚れ込んでしまった僕にとって、新製品「F601」は使いづらかった。香港台湾の撮影から戻ると、なんの躊躇もなく手放してしまった。発売直後と言うこともあって結構な値段で売ることが出来たのはラッキーだった。


このところ「ファインピックス4500」がいかに素晴らしいかを皆に説いている。まるでメーカーの回し者のようだ。いや、メーカーの人間より熱心かもしれない。今のところ現行商品だが、移り変わりの速いデジタル分野の商品。いつ販売中止になってもおかしくない。その前に、本気で「もう1台」と考えている。


「ファインピックス4500」のデータをなにもいじらず「ピクトログラフィー(プロ用のプリンター)」でA4に伸ばすと、ポジやネガからのプリントとは違ったリアル感のある絵が出来る。写真集の印刷打ち合わせで「こんな感じでデジカメのデータから印刷したい」と意気込んで印刷会社の営業の人と交渉したところ、「プリントはRGBで出力しているのに対し、印刷はCMYKですから同じと言うわけにはなかなか行きません」とやんわりと制せられた。


もっともな話だ。それに紙が違えば出方も違う。今、数種類の紙に見本印刷してもらっている。どんな風に出るか興味津々。


あれだけ「デジカメ音痴だ」と言っておきながら、このところ自分の中でのデジタルブームはすごいことになっている。「フィルムの方がデジタルよりいい」と固く信じていたけれど、「ファインピックス4500」のおかげでそうでもないことに気が付いた。特に光の足りないところの描写はフィルムを圧倒的に凌いでいる。色といいディティールといい、今まであきらめていたシーンをものにすることが出来る。


D60は来週からさっそく仕事で使い始める。ポジフィルムとネガフィルムからのカラープリント、モノクロプリント。それにこれからはデジタルが、機材選びの選択肢に入ることになる。「モノは使いよう」色々選べるというのはいいことだ。

(2002/05/17)